サロメ 終了いたしました
2008年 10月 13日
カヴァーのお話をいただいたのが、2月の中旬のこと。
お受けするかどうか、1日考えていたのが、
終わってしまえば昨日のことのようです。
今回、思い切って挑戦してみたことで、得られたことは本当にいっぱい。
一番大きいのは、ドイツオペラにどっぷり浸かったこと。
おかげで、声の鳴らし方、子音の飛ばし方等、
これだけ歌えばそれなりに身にもついただろう、と感じる。
やっぱりこうやって、実際に鍛えられないと、自分のものにはならないなぁ。
昨年の「こびと」も大変だったけど、
今回の「サロメ」の譜読みはその比じゃなかった。
めくってもめくってもめくっても、まだサロメが歌ってる・・・というプリマ・ドンナのオペラ。
でも、だからこそ遣り甲斐もあり、楽しかった。
譜読みの間は毎日稽古後に夜遅くまで残り、
休日ですらホールに通い詰め、音取り。
オペラの前はいつものことですが、
完全に暗譜して歌えるようになるまでは、安心できなくて、
たち稽古に入る前まで、いらいらしたり、結構ナーバスでした。
最近改めて気づいたんですが、意外に私は完璧主義者みたいです。
今日の公演は、キャパの9割近くのお客様にいらしていただけたとか。
出演していない分当然ながら、いつもの本番より余裕を持って、
モニターからロビーでくつろがれる皆様を拝見しておりました。
今回やってみて思ったのは、
カヴァーキャストというのは、なんとも寂しい立場です。
やっぱり、本番の舞台というのは舞台人としては経験したいもの。
もちろん多くのことを学ぶことができたし、
Mちゃんのサポートのお仕事も
彼女の頑張りのおかげで最高の出来で終われたので、十分満足。
でも、どんな役でも本役として一つの舞台を経験するということは大事。
・・・と、袖から皆の成功に大きな拍手を送りつつ、
結局は贅沢な「ないものねだり」の微妙な達成感でした。
今日の公演は皆様いかがでしたか?
1500人のお客様が一人ずつ違った、さまざまなご感想をおもちかもしれません。
でも、私個人としては、今回のカロリーネの演出プラン大好きです。
製作過程にずっと関わってきているので
プランを細部にわたって意図とすることを理解しているため、
サロメの複雑な心理状態で作品に没頭しておりました。
彼女の創り出すサロメは、過去になかった新しいサロメ。
現代社会における問題点でもある「寂しさを抱えて育った子供」。
ご覧になったお客様に、現在の日本で起きているような、
いろいろな凄惨な事件を連想させたのではないでしょうか。
それを目の前に突きつけられることは
もしかすると、あんまり心地よくないことかもしれない。
でもそれこそが、カロリーネの一番の狙いだったのではないかしら。
昨日のポルトガル国立歌劇場のダマンさんが講演で言ってらした
オペラの3つの役割。
1つ目は、教育。
2つ目は、娯楽。
そして3つ目に、市民社会。
つまり、オペラを通して、我々の生活を見つめなおすということ。
愉しむだけが、オペラの目的ではないのだ、と。
今回の登場人物は、全員が悪人でした。(子サロメを除く。)
皆さんの度肝を抜いたであろう、サロメのダンス。
あれはサロメの夢だったわけなんだけど、
実は皆、パパもママも、あんな絵に描いたような
美しい幸福な家庭を築きたかったんじゃないかなぁ。
前後との幸せ度の落差が激しくて、
私は毎回涙せずにはいられませんでした。
あの「夢」の間、実際には描かれなかった本当の「Tanz」。
たくさんの虫達に蝕まれるような何かがあったのかもしれない。
この「サロメ」で、いつか私も歌ってみたいと心から思いました。
だから、その時のために私はもっともっと成長しなければいけない。
夢で終わらないように、自分ができることはしなくっちゃ。
さぁ、ご覧になっていない皆様には、何がなんだかわかんないですよね。
一つだけ隠していたことを謝るとすれば、
「本日、サロメは脱ぎませんでした。」
そして、それはお話をいただいた際にわかっていたことでした。
でも、一番最後まで、一番のナイショごとでした☆
まぁ、十分セクシーな要素満載の舞台でしたけど。
今日で、この濃厚な音楽と惜しみつつも決別。
来週に向けて、プッチーニと、イギリスバロックに移行します。
お受けするかどうか、1日考えていたのが、
終わってしまえば昨日のことのようです。
今回、思い切って挑戦してみたことで、得られたことは本当にいっぱい。
一番大きいのは、ドイツオペラにどっぷり浸かったこと。
おかげで、声の鳴らし方、子音の飛ばし方等、
これだけ歌えばそれなりに身にもついただろう、と感じる。
やっぱりこうやって、実際に鍛えられないと、自分のものにはならないなぁ。
昨年の「こびと」も大変だったけど、
今回の「サロメ」の譜読みはその比じゃなかった。
めくってもめくってもめくっても、まだサロメが歌ってる・・・というプリマ・ドンナのオペラ。
でも、だからこそ遣り甲斐もあり、楽しかった。
譜読みの間は毎日稽古後に夜遅くまで残り、
休日ですらホールに通い詰め、音取り。
オペラの前はいつものことですが、
完全に暗譜して歌えるようになるまでは、安心できなくて、
たち稽古に入る前まで、いらいらしたり、結構ナーバスでした。
最近改めて気づいたんですが、意外に私は完璧主義者みたいです。
今日の公演は、キャパの9割近くのお客様にいらしていただけたとか。
出演していない分当然ながら、いつもの本番より余裕を持って、
モニターからロビーでくつろがれる皆様を拝見しておりました。
今回やってみて思ったのは、
カヴァーキャストというのは、なんとも寂しい立場です。
やっぱり、本番の舞台というのは舞台人としては経験したいもの。
もちろん多くのことを学ぶことができたし、
Mちゃんのサポートのお仕事も
彼女の頑張りのおかげで最高の出来で終われたので、十分満足。
でも、どんな役でも本役として一つの舞台を経験するということは大事。
・・・と、袖から皆の成功に大きな拍手を送りつつ、
結局は贅沢な「ないものねだり」の微妙な達成感でした。
今日の公演は皆様いかがでしたか?
1500人のお客様が一人ずつ違った、さまざまなご感想をおもちかもしれません。
でも、私個人としては、今回のカロリーネの演出プラン大好きです。
製作過程にずっと関わってきているので
プランを細部にわたって意図とすることを理解しているため、
サロメの複雑な心理状態で作品に没頭しておりました。
彼女の創り出すサロメは、過去になかった新しいサロメ。
現代社会における問題点でもある「寂しさを抱えて育った子供」。
ご覧になったお客様に、現在の日本で起きているような、
いろいろな凄惨な事件を連想させたのではないでしょうか。
それを目の前に突きつけられることは
もしかすると、あんまり心地よくないことかもしれない。
でもそれこそが、カロリーネの一番の狙いだったのではないかしら。
昨日のポルトガル国立歌劇場のダマンさんが講演で言ってらした
オペラの3つの役割。
1つ目は、教育。
2つ目は、娯楽。
そして3つ目に、市民社会。
つまり、オペラを通して、我々の生活を見つめなおすということ。
愉しむだけが、オペラの目的ではないのだ、と。
今回の登場人物は、全員が悪人でした。(子サロメを除く。)
皆さんの度肝を抜いたであろう、サロメのダンス。
あれはサロメの夢だったわけなんだけど、
実は皆、パパもママも、あんな絵に描いたような
美しい幸福な家庭を築きたかったんじゃないかなぁ。
前後との幸せ度の落差が激しくて、
私は毎回涙せずにはいられませんでした。
あの「夢」の間、実際には描かれなかった本当の「Tanz」。
たくさんの虫達に蝕まれるような何かがあったのかもしれない。
この「サロメ」で、いつか私も歌ってみたいと心から思いました。
だから、その時のために私はもっともっと成長しなければいけない。
夢で終わらないように、自分ができることはしなくっちゃ。
さぁ、ご覧になっていない皆様には、何がなんだかわかんないですよね。
一つだけ隠していたことを謝るとすれば、
「本日、サロメは脱ぎませんでした。」
そして、それはお話をいただいた際にわかっていたことでした。
でも、一番最後まで、一番のナイショごとでした☆
まぁ、十分セクシーな要素満載の舞台でしたけど。
今日で、この濃厚な音楽と惜しみつつも決別。
来週に向けて、プッチーニと、イギリスバロックに移行します。
by musicakurihara | 2008-10-13 01:31 | 演奏会の感想